
ビジュアルデザイン部 川原史也
段取りと冷静さで支える職人肌
そのシャープペンシルは、どのように贈られたのですか?
父の日に子ども達から贈呈
そのシャープペンシルは、父の日に子どもたちからもらいました。いつもの贈り物は絵や手紙が多かったので、最初は机の近くに置かれていたそれが何なのか、すぐには分からなかったんです。あとで「パパ、いつもありがとう」と書かれたメッセージに気づいて、ああ、父の日のプレゼントなんだと分かりました。普段の仕事では書き物をする機会が多いので、実用的なものを選んでくれたことがうれしかったですね。子どもたちなりに、仕事で使う場面を思い浮かべてくれたのかなと感じました。貼ってくれていたメッセージのシールは、使ううちに少しずつ擦れて薄くなっていきましたが、その変化も含めて思い出になっています。
その一本に救われるのは、どんな時ですか?
仕事が立て込み、心が急く時です。
仕事が立て込んで、気持ちが先に走りそうになる時です。私の仕事は、お客様からいただいたデータを編集して出力し、乾燥やラミネート加工を経て次の工程へ渡す流れなので、ひとつの作業だけを見ていればいいわけではありません。案件ごとに期限が決まっている中で、承認待ちで止まっていた物件が重なって動き出すと、一気に段取りを組み直す必要があります。しかも、データ制作も出力も加工も自分で見る場面が多いので、時間に追われる感覚が強くなることがあります。そんな時にこのシャープペンシルを手にすると、子どもたちの顔が自然と浮かびます。すると、焦る前に一度呼吸を整えようと思えるんです。仕事そのものが軽くなるわけではないので

仕事の軸は何ですか?
目に見える形で残すこと
仕事が立て込み、心が急く時に、このシャープペンシルに助けられることがあります。私の仕事は、お客様からいただいたデータを編集し、出力し、ラミネート加工まで進めて次の工程へ渡す流れです。案件ごとに期限が決まっている一方で、承認待ちで止まっていた複数の物件が一気に動き出すことがあります。そうなると、データ制作も出力も段取りも全部を自分で整理しながら進める必要があり、頭の中がいっぱいになります。そんな時に手元の一本を握ると、自然と子どもたちの顔が浮かびます。今ごろ何をしているかなと想像すると、張っていた気持ちが少し緩みます。その一呼吸が入るだけで、優先順位を落ち着いて見直せるようになります。

その一本が、後輩への接し方にどうつながっていますか?
一呼吸が、人への余裕になる。
私がこの仕事で大切にしているのは、目の前の作業の先に、実際にその場所を使う人の姿があると忘れないことです。大阪駅周辺の案内表示や施設のサインのように、多くの人が自然に目にするものに関われるので、社会の中で役立っている実感があります。たまに現場で施工に立ち会うこともあり、出来上がったものを見たお客様の反応を直接感じられる瞬間があります。病院でグラフィックを施工した時に、空間の雰囲気が明るく変わるのを見て、この仕事の意味を強く感じました。黙々と手を動かすだけではなく、形になった先の喜びまで見届けたい人に向いていると思います。
行き詰まる人に、どう寄り添いますか?
叩き台を出し発展できる人
後輩や周囲が行き詰まっている時は、まず「無理せんときよ」と声をかけるようにしています。やらないといけない仕事がある中で、外から正論を重ねても、しんどさは軽くならないと思っているからです。なので、こちらから抱え込みすぎていないかを気にしつつ、言いすぎずに少しガス抜きできるような会話を意識しています。不満や焦りは、ため込むほど余計に苦しくなります。現場には納期があり、こちらで守らないといけない時間もありますが、前段の遅れで最後だけが苦しくなる場面もあります。そういう時ほど、一人で抱え込ませないことが大事だと感じています。私自身も焦る時があるからこそ、まずは落ち着ける空気をつくりたいです。
